4月に入ったので、昨日から5月の車検対象のお客様に
入庫のお願いをしています。
1番にご予約をして頂いたのは、Sさんでした。
年配の方でいつもご夫婦でご来店下さいます。
羨ましいくらい仲睦まじいご夫婦です。
そのSさんから今日また電話がありました。
【少し嫌な予感】
「車検代っていくら位かかりますか…?」と。
私は正直に、実際に拝見してみないと分からない事や
ディーラーなので車検に通らない箇所は譲れない…等の旨を
丁寧にご説明させて頂きました。
「分かりました。」と、Sさんは静かに電話を切られました。
私の胸の中に少しだけさざ波が立ちました。
【予感的中】
しばらくするとまたSさんからの着信。
「すみません…今回は近所に出します…」と。
前回の車検代が思いのほか高額になった事、
今は家計が苦しく、また自身が高齢のため
もうあまり長くは乗らない可能性が高い事等を
理由として告げられました。
言葉と言葉の間から、Sさんの“本当に申し訳ない…”という思いが
十分に伝わってきました。
優秀な営業マンならこんな時、巧みな切り返しトークを
矢継ぎ早に繰り出し、説得も出来るのでしょう。
でも私はたいていの場合、「分かりました、また何かお役に立てる事が
ありましたらよろしくお願いします。」と、
すごすごと引き下がってしまいます。
だからいつまで経っても底辺営業マンなんだろうと自覚しています。
「またもし乗り換える時は、必ず連絡しますから。」
Sさんはそう言って電話を切られました。
これまでにも何度か似たような言葉をかけて下さったお客様はいましたが、
実際にご連絡を頂いた事はありません。
でもSさんだけは、またいつかどこかでご縁を頂けそうな気がします。
そう思うくらい優しさに満ち溢れるお客様なのです。