明日は待ちに待った?店休日です。
「Jさんの車検が完了したら今週も終わりだ。」
そう考えてたら工場長が突然大きな声をあげました。
「この自賠責保険、車体番号が違う!」と、
私は一瞬意味が分かりませんでした。
ちなみに“自賠責保険”というのは正式名称の
“自動車損害賠償責任保険”を略した言葉で
法律により原則全ての車に加入が義務付けられている強制保険です。
車検を受けた際には必ずまた新たに加入する必要があります。
恐る恐る工場長の席に近づくと…
確かにこれまでの(車検前の)自賠責保険証書と
新たな自賠責保険証書の車体番号やプレート番号が違ってます。
社内でも一番頭の回転が遅い私ですが、暫くしてその原因に気付きました。
殆どの場合は車検と同時に我が社で自賠責保険を発行させて頂くのですが、
(この場合はほぼ間違いようが無いのですが)
まれにお客様自身が予めご用意の上、車検にご入庫頂くケースがあります。
今回のJさんの初回車検(車両ご購入時の自賠責保険は我が社が発行)もそのパターンでした。
幸いJさんのご自宅は支店からはそう遠くなく、
また常にご在宅なので、私はすぐにその2枚の自賠責保険証書と
車検証のコピーを持ってJさん宅を訪ねました。
事情を説明しましたが、私の拙い語彙力ではなかなか意味合いが通じません。
「息子に全て任せてあるので…」と言うJさんはその場で
息子さんに電話をかけてくれ、私に代わってくれました。
詳しくお話を伺うと、ようやく今回の真相が見えてきました。
Jさんの息子はさんは大手保険会社Mにお勤めで、
もちろん自賠責保険も取り扱っていらっしゃいます。
今回の車検に際し、Jさんは息子さんに自賠責保険の
発行を依頼したのだそうです。
ところがJさんはもう一台ご自身名義の車を所有されていて
(恥ずかしながら私はその車の存在を知りませんでした。)
たまたまその車も間もなく車検満了日で、息子さんはてっきり
その車の自賠責保険だと思い込み、発行をした様です。
息子さんは大変恐縮されて、「今回はそちらで改めて
発行をお願いします。」と言ってくれました。
私は直ぐに工場長にその旨を連絡し、今回は何とか
事なきを得ました
私は5、000、010回目位の猛反省をしました。
車検でお引き取りに伺い、渡された自賠責保険証書を
その場で確認する…ただそれだけの事で今回のバタバタは
回避出来た筈なのです。
Jさんご家族、工場長には大変なご迷惑をかけてしまいました。
納車が完了し、店に到着する頃には、もうすっかり辺りは暗くなっていました。
帰り道で聞いたラジオの天気予報によると、明日から天気は下り坂…との事。
私がついた小さなため息が、代車の中に漂いました。